「あ、これ美術準備室に飾ってるやつ」

「飾ってるの?」

「うん、中村先生が現像して、吉野先生が写真立てくれたから。せっかくだから飾らないとね」

「いいの?」

「こっそりだから大丈夫だよ。生徒達の間ではもう有名だけど」

悪戯っ子みたいに笑うから、そんなところも好かれる要因なんだろうな、なんて思ったりして。


「…今度、加地くんの彼女も一緒にご飯食べに行こっか。あ、うちで集まるのもありだけど」

「そうだね、そうしよ」

あたしが話しにくそうにしてたから、きっと蓮くんは空気を和らげようとしてくれたんだろう。

だってほら、その証拠に嬉しくて笑顔になったあたしを見てホッとしたようにいつもの笑顔になった。


「なんか、嬉しそうだね」

「え?」

「んふふ、俺が帰ってきてからずっと、茉央ちゃんソワソワしてたから。何かあったんでしょ?」

何かあったっていうのは間違いじゃない。

今胸がいっぱいで、ドキドキしてて、こんなに幸せでいいのかな、なんて思ったりして。

あたしが正座してるからなのか、蓮くんも正座したままその足を崩さなくて、そんな姿がやっぱり好きで。

きっとこの人はいつもみたいにふにゃんと笑って、喜んでくれるんだろうなって、想像できるから。