また失敗したな。まあでも、何度も聞かれるよりこれが噂になって流れてくれた方が楽かもしれない。

「じゃあさ、あたしらでも可能性ある?」

「んなの、あるわけないでしょ」

「えーっ、何で?」

もういいかな、言っても。

どこから広まったか分からない噂も、きっとこれからたくさん質問されるだろうから、この子たちが広めてくれたら、楽かも。

言っちゃいけないって言われたわけじゃないけど、何となく言わないとダメってことでもないし。

多分時期がきたら言うんだろうなって、茉央ちゃんも思ってるだろうから。


美術室の方に歩きだして、少し離れたところで振り返って言った。


「その彼女さ、もうすぐ俺の奥さんになんの」

「「「「え?」」」」

ピタリと固まった生徒たち。

それをいいことに、離れながら言った。


「だから他の女の子なんて興味ねーの」

その言葉に、女子生徒は今日何度目か分からない悲鳴を上げて、騒いでる。

だからその隙に逃げ出した。


ごめんね、茉央ちゃん。バレちゃった。

ていうか、バラしちゃったんだけど。

生徒に知られちゃったからには、絶対に幸せにするから。だから許してよ。


明日、結婚するの!?なんて質問攻めにあうのは目に見えてるけど、それもまあいいかな、なんて思うから。

‐END‐