「蓮くんモテるでしょ?」

「モテないよ」

「うそだー、こんなにカッコよくて優しくて運動神経までいいんだよ?」

いつものことながら、また捕まった。

「おまけに賢いって聞いた!」

「そんなのモテないわけないじゃん!」


教師になって何年も経つのに、こうして囲まれて”蓮くん”なんて呼ばれるのはどうしても納得いかない。

何で友達みたいな扱いなんだろう。

俺の容姿や雰囲気に問題があるっていうのは百も承知なんだけどさ。


「そんなことより、蓮くん、じゃなくて先生って呼びなさい」

「えー、蓮くんは蓮くんじゃん」

俺がこう言うたびに生徒が言う、蓮くんは蓮くんって何なんだろう。

確かに俺は俺だけど、一応先生なわけで。

茉央ちゃんがいたころと変わらず友達みたいな扱いを受けているのは、やっぱり俺が年相応に見えないからなんだろうな。


「ねー、蓮くん彼女いるの?」

「ていうか今まで何人いるの?」


俺にも問題はあると思うけど、やっぱり最近の高校生があまり先生と距離を取ろうとしないっていうのもあるのかもしれない。

だって俺が高校生の時なんて、先生の彼女とか興味なかった気がするもんな。

あんまり覚えてないけど。