「…お前、中村さん並みの鈍感なわけ?」
「何だよいきなり」
「気長に行こうと思うんですって、加地に対してってことだろ?」
「はあ?」
俺に対して?
改めて考えてみる。
相手が高野だということをふまえて、さっきのあの言葉が俺に対する告白だったのかと考えれば、そうだったのか?なんた更に疑問が浮かぶ。
決して鈍感じゃない。
「俺はいいと思うけど、ああいう子。多分加地は一緒にいて楽で、落ち着くんじゃねーの?」
そうだ。改めて考えれば高野といて落ち着くなんてずっと前から気づいてたことだし、それを今更実感したからって驚きは大してない。
高野が俺を好きだったってことに対しては少なからず驚いてるけど、まあそれも本人の口からちゃんと聞いたわけじゃないし確信はない。
もし本当にそうだったとしても、今の雰囲気や関係がぶち壊れるような感じでもないわけだ。
「どうなんだよ?」
「何とも言えねぇな」
「じゃあ可能性はあるわけだ」
「さあ、知らね」
これからも変わらずあいつの家に飲みに行くことはあるだろうし、時間が経てばそういう関係になるかもしれない。
そこんとこは俺にも分からない。
だから何とも言えないのだ。