「付き合えばいいのに」

サラッとこういうことを言ってくるとこはマジでクソガキだなって思うけどさ。

だってこいつちょっと笑ってんじゃん。

そんなことを思っていれば、今度は高野が笑顔で口を開く。

どうせロクなこと言わねぇって思ってたのに。


「加地くんやっとそのドレスの彼女のこと吹っ切れたみたいだから、あたしは気長に行こうと思ってるんです」

なんて言いやがって。

「長い間好きだったみたいだし、そんな簡単に次に行けるほど単純な人じゃないって何となく分かるから」

グッと持ってきた飲み物を飲み干して、立ち上がった。

飲みっぷりはオッサンそのものだ。


「じゃあ、あたし会社戻るねー」

「おー」

手ぶらで来たのかこいつ。

レジの前でポケットから小銭を出してる姿を見て、思わず鼻で笑ってしまった。

20代女子としてどうよ。

せめて財布ぐらい持って来いよって。


「…加地今の気づいた?」

「何が?」

「今の告白みたいなもんじゃん」

「は?」