「何で俺がお前と外でランチなんてしなきゃなんねーの?」

「んな冷たいこと言うなよ加地、相談があるって言っただろー」

「OLかよ。せめて定食屋とかあるよな、何が悲しくてお前と2人でこんなおしゃれな…」

周りを見渡すけど、男2人で食べに来てるやつらなんていないし、何なら同じ職場の女もちらほらいる。


「仕方ねーじゃん、お前の職場から一番近いのがここなんだから」

「…今日だけな。で、何?」

白城からの突然の連絡は、相談があるから時間を作ってほしいというものだった。

6月半ばのこの時期は、何でか俺の職場は忙しくて。

しばらくは飲みにも行けないと言えば、じゃあ昼飯食いに行こうぜ、なんて返信が来て今に至る。


「咲良と蓮くんの結婚式のことなんだけどさ」

「ああ、この前言ってた結婚式で流す動画のことか。お前も高橋もそういうのの編集無理なんだっけ?」

「そうそう、出来ないことはないけどさ、こういうのは加地の方が得意じゃん」


咲良と蓮くんから結婚すると聞いたのは、1か月くらい前のことだったか。

たまに集まって一緒にご飯を食べたりってことがあったけど、あの日は突然の報告に俺も白城も高橋も声が出なかったのを覚えてる。

「それでさ、咲良と蓮くんが仲良い人たちからメッセージとか写真とか集めるのはとりあえず俺らがやっとくし、加地は仕事が落ち着いたら連絡くれよ」

「あー、悪いな」

「いや、俺らも時間あるときにって感じだし」


結婚式は2人が付き合い始めた日に決まったらしい。