「娘が嫁に行くことになって寂しいかなって思ったんですけど」

咲良とよく似た、たまに見せる悪戯するときの笑顔でそう言うから、思わずため息が出た。

「あんな娘いりませんよ」

危なっかしくて見てらんねぇわ。

俺の娘は絶対もっと危機感持ったのに育てるし。


「結婚式、いつにするんですか?」

「ちゃんと決まったわけじゃないんですけど、記念日にしようかって言ってるんです。ちょうど土曜日みたいだし、中村先生はもちろん出席ですよね?」

咲良を見ながらそう言った篠原先生は、きっとこの先も咲良のことをこんな風に優しい目で見つめてるんだろうなって。

大事にしてるっていうのが、周りの俺らにも伝わるような。

だから安心して咲良を任せられるし、この先の2人に不安を抱くこともない。


「そりゃあ、出席しないなんて言ったら俺あいつに怒られますよ」

「怒るのは茉央ちゃんだけじゃなさそうですけどね」

「ああ、白城と加地辺りが説得しに家まで押しかけて来そうっすよね」

そんなことされなくても最初から出席するつもりだけど。


「みんなのお姫様ですからね、俺の奥さん」

「なんか放っておけないんでしょうね」