結婚って。
いや、考えたことないわけじゃないけどさ、改めてそう言われると何か戸惑うっていうか、ビックリすんのね。
「や…考えたことはあるけど」
「何、迷ってんの?」
何で?みたいな顔で加地くんが俺を見るから、何でだろうと改めて考えてみる。
考えることはいくらでもある。
ていうか、もうこの先にあるのはそれしかないと思ってるし。
「迷ってるっつーか、こういうのってタイミングとかあるんじゃねーの?」
俺が答えるよりも先に、中村先生がそう言った。
そうそう、それ。
きっと今だって思うときが、いつか来るんだろうなって。
だけどその考えも白城くんと加地くんに共感を得ることは出来なかったらしい。
年代が違うとこうもはっきり意見が分かれるんだ。見事に正反対の意見に思わず笑みが溢れた。
年取ったとってことかな。
「結婚ね、考えてないわけじゃないよ。だってもう茉央ちゃん以外の人とは考えられないし」
彼女以外ならいらない。



