「つーか、相手がそこにいるって言ってもわざわざ会いに来るわけじゃねぇし…」

なんて言ってた矢先、ドアが開く音が聞こえて、そこから顔を覗かせたのは私服に着替えた吉野先生だった。

「あ、まだ終わってないんですね」

「終わったんすか?」

中村先生と吉野先生は、先月から付き合いだしたらしい。

吉野先生の粘り勝ちっていうか、夏に海に行ってから3ヶ月以上も進展がなかったってことに驚いた。

てっきりあの後すぐにいい感じになったと思ってたのに、ほんとに気長に待ってたんだなって。


「はい。そろそろ終わるかなって思って様子見に来たんです」

クリスマスだもんね。

生徒はこの前冬休みに入ってほとんどいないし、堂々とこうして校内で会える。

多分2人もこの後どこかに行く約束をしてるんだろう。

「篠原先生、咲良さんと約束してるんじゃないんですか?」

「…してるんですけど、もう少しかかりそうなんですよね」

遅れるかもしれないってことはとっくに伝えてるけど。