「おーっとぉぉ?新人クン?そんなにぼやっとしてるとリリ置いてっちゃうよ?」
厚底のヒールの底をカツンと鳴らしてふわっと回り腰に手を当てる
青色の髪が風に揺れ、耳元の鈴のイヤリングがちりんと涼しげな音を奏でる
ピンク色の澄んだ目に見つめられて思わずびくりと肩を揺らす
─昔からの悪いクセ
はぁーーーーーと長いため息をつかれる
─飽きられたかな
やっぱり第二の人生なんてこんなものなんだ、生前とおんなじだよ…
実際、ここが本当にパイロスニロスという証明が無いからきっとここは地獄なのだろう
「…そんな顔しないでよ、怒ってるわけじゃないんだから、ね?」
ほんの少しだけ焼けた手で僕の手を包んで大丈夫だよ、と優しい声で言って笑った
そのことが、とても嬉しくて
「ありがとうございます…」
「わっ!な、なかないでよぉ…リリが悪いみたいじゃんかー!」
「ごめんなさい、でも、止まらなくて…」
優しい言葉をかけられたのはいつぶりだろうか、嬉しすぎて涙があとからあとから出てくる
「…あなた、笑えるじゃない!笑った方が似合うわよ、ずっと笑顔でいなさい」
ばしばしと肩を叩いて喜ばれる
ってか笑えるじゃないって…僕は人形じゃないんだけどな…
…え…?笑ってた?僕、笑えてた?
今までそんなに笑ったことないのに…
この人、不思議な人だな…