深愛なる君へ、この愛を捧げます。





夕方。
私は一度病院を出て、日海のお迎えに向かった。




日海と共に車に乗ると、予約しておいたケーキをケーキ屋にもらいに行き、夕飯を買って病院へ向かう。




ケーキは日海の大好きなチョコレートケーキ。
日海が他のケーキに夢中なうちに中身を確認した。




病院に到着し、日海と手を繋いで理人がいる病室前に立つ。




日海がギュッと握る手に力を入れたのが分かった。
緊張しているのだと思うと、可愛らしくてついふっと笑ってしまった。




「日海、大丈夫だよ。言えばきっとパパ、泣いて喜ぶから」


「…うん」




日海の緊張をほどこうと言ったつもりだったけど、日海は真剣な表情で頷いた。
それがまた面白くて小さく笑って、病室の戸を開けた。




「…理人。お待たせ」


「…っ!ぜ、全然待ってないよ」




病室に入ると理人は私を見てからすぐに、私の脚に抱きついている日海に目を向けた。




日海はピクリと反応し、私の背後から顔を覗かせた。




理人を見ると、理人も何も言わずに日海を見つめている。




この二人はこのままかと思ったけど、やがて理人がふっと笑った。




「…日海、誕生日おめでとう」




理人が声をかければ、日海はみるみるうちに表情が花が咲くみたいに明るくなり、緊張がほどけたのか私の脚から離れた。




そしてキラキラした表情のまま、私の方を見上げた。
あまりの日海の明るい表情に少し驚いたけど、私はしゃがんで日海に目線を合わせた。




「良かったね、日海。
パパにおめでとうって言ってもらって」


「うん!」




日海は笑顔で頷くと次に理人を見て、理人が座ってるベッドサイドに駆け寄った。




「ありがとう、パパ!
にかね、にかね、よんしゃいになったの!」




手で4を作って、理人に見せる。
理人は「パパ」と呼ばれたことに目を潤ませていた。




最初は沈黙していた二人だったけど、何とか打ち解けたことに私は内心ホッとして二人が笑って話しているのを見ていた。