深愛なる君へ、この愛を捧げます。





それからバイト中もあの失態が忘れられなかった。




『…これ返さなくていいから、家帰ったら捨てて。
ハンカチくらいまた買えばいいし』




どうして昔を掘り返すようなセリフを言ってしまったんだろう。




あれは完璧、中学の時に言ったセリフほぼそのまんま。




「まぁ、あんなことなんて忘れてるよね絶対」




私が覚えてることが不思議なくらいだもの。
更衣室で着替えながら、ポジティブに捉え、私はロッカーの戸を閉めた。




オーナーに今日の給料を受け取り、「またいつでも来てねー!」と言われながら遊園地をあとにする。




遊園地の出入口に近付くと、見覚えのある茶髪が見えてきた。
今日見たから忘れるはずもない。




「うそ…」




思わず声出すと、それに気付いた彼はこちらを振り返った。




そしてふっと笑って私を見つめる。
外見はすっかり大人びているのに、その笑みは中学の時と変わらないものだった。




「まさかあの言葉をまた聞けるなんて思わなかったよ。
お守りとしてずっと持っててよかったかも」




理人は、そう言ってポケットから中学の時に手当てで使ったハンカチを出した。




これが理人との再会であり、私の恋の始まりだった。