「……っ」
奏に掴まれて痛そうに顔を歪める3年の男。
あまりに迫力のある奏の気迫に負けたのか、ゆっくりその手が私から離れた。
それを見計らって、私は男から逃げるように距離を取る。
「てめえ、1年のくせに生意気なんだよ……っ!」
悔し紛れに、男が奏に殴りかかろうと拳を上げた。
奏の目の前まで迫る拳。
私は見ていることが出来ずに、目を閉じて顔を覆った。
こ、怖すぎる。
ーードカッ
「うぐっ……ってぇなぁ!てめえ、ふざけやが」
ーーバシッ
「げほっ」
ーードサッ
耳だけを頼りに、神経を集中する。
だけど聞こえて来るのは、苦しそうな3年の男の声のみ。



