だけど、迫力のあるこの男の前から逃げ切れる気がしなくて。
絶対に逃げられない。
瞬時にそれがわかってしまった。
さすがは頭を張るだけのことはあるなって、こんなピンチの時に妙に納得している冷静な私がいた。
「頭の回転が良い女は嫌いじゃねー。可愛がってやるよ」
「い、いや……っ!」
ガシッと腕を掴まれ、近くにあった空き教室に引きずり込まれる。
だけど、私はドアを掴んで必死に抵抗した。
逃げられないってわかってても、やっぱりこんなのは嫌だ。
「おとなしくしろよ、このクソ女っ!」
「は、離して……っ!」
いや!
嫌だ!
誰か!
……助けて!!
ギュッと目を閉じる。
浮かんで来たのは自信満々に笑う奏の顔。
いつもムダなくらい一緒にいるくせに、なんでこんな時にいないのよっ!



