「何も泣くことねーだろ?そんなに嫌かよ?」
「当たり前じゃん……っひっく。迷惑なんだよ」
涙を拭いながら睨み付ける。
すると奴は急に真顔になり、ゆっくり体を起こした。
ーーギシッ
スプリングが軋んだのと同時に奴が立ち上がる。
「ごめん、悪かったよ。けどーー」
そして、私の目の前に立ったかと思うと腕を引っ張られた。
「マジで好きだから、譲れねえ。嫌かもしんねーけど、心配だから俺に守らせて?」
ーードキン
な、なにいきなり。
なんで急に真剣になるの?
そんなに切なげなの?
「す、好きなんて……思ってもないのに言わないでよ」
桐生奏の胸を両手で突っぱね、プイとそっぽを向く。
体はすぐに離れた。



