「照れんなって」
ニヤリと笑われ、肩を引き寄せられる。
その笑顔がすごく憎たらしくて、思わず唇を噛み締めた。
拳がプルプル震える。
ダメだ。
この人には何を言っても通用しない。
それは昨日の一件で実感済み。
もう……弁解するのさえ面倒になって来たよ。
「わ、笑ってる……あの奏さんが」
「俺、初めて見たかも」
「お、俺も」
「いつもは冷徹なのに」
ヤンキーたちのそんな声が辺りに飛び交う。
誰もが驚いたように目を見開き、ゴクリと唾を飲み込んだ。
まるで信じられないものでも見ているかのような眼差しに、居心地の悪さを覚える。
でも。
もうどうでもいい。



