その時だった。
「さくら」
懐かしい声が聞こえたのは。
途端に涙が溢れて、視界が歪む。
待ち焦がれた……大好きだった人の声。
「さくら、待たせたな」
振り返ると、桜が舞い散るそこにすっかり大人になった奏が立っていた。
あんなに明るかった髪は真っ黒になって、だけど相変わらずフェロモンたっぷり。
奏は私を見て笑っていた。
「か、奏……っ!」
ガマン出来ずに駆け出した。
奏……っ!
間違いない。
ホンモノだ。
ずっとずっと会いたかった奏がここにいる。
私は思いっきり奏に抱き着いた。
懐かしい温もりが全身にしみ渡る。
胸の奥から愛しい気持ちが込み上げて、私は唇をグッと噛み締めた。
「さくら、おめでとう」
「あ、ありがとう……っ」
奏も同じように私の背中に手を回して抱き締めてくれる。
その温もりは、8年前と何も変わっていなかった。



