「あ、あります……!」
私にはどうしても譲れない夢がある。
「そうか。だったら、奏のことは諦めてくれるね?」
「え?」
わけがわからなかった。
夢があるなら諦めろって、何それ。
当然だけど、納得出来るはずがない。
「コイツは将来桐生グループを背負って立つ男なんだ。コイツと一緒になる女性は、当然だけど夢を捨ててそばで尽くさなければならない。キミはその夢を捨ててまで、奏と一緒になりたいのか?」
「そ、そんな……っ」
そんなことって。
グッと唇を噛み締める。
夢を取るか、奏を取るかだなんて。
そんなの、私には選べないよ。
「卑怯なこと言ってんじゃねーよ、クソ親父。俺は後を継ぐって決めてるけど、さくらの支えなんていらねー。ひとりで立派にやってみせる。けど、それにはさくらがいなきゃムリだ」
「か、奏……っ」
「さくらはさくらの夢を追ってくれていいから、俺のそばにいて?」



