気付くと拳をギュッと握り締めていた。
緊張しているせいか、変な汗が背中に流れる。
そんな私の隣に立った奏は、震える私の拳をギュッと握ってくれた。
「言っとくけど、俺の気持ちは一生変わらねー」
「わ、私もです……!」
2人でおじさんに向かって訴えた。
奏が手を握ってくれているだけで、安心感が胸に広がる。
「さくらさんと言ったかな?キミ、夢は?」
おじさんは、怒るでもなく笑うでもなく。
私に向かって訊ねた。
「ゆ、夢ですか……?」
あまりにも突拍子のない質問に思わず面食らう。
まるで予想だにしない切り返しに、肩透かしを食らったような気分だ。



