それからというもの、漆原さんは奏にしつこく付きまとった。


クラスが違うというのに、休み時間の度にやって来ては好きだの何だのと言って奏にベタベタする始末。


その度に嫌な気持ちが胸に込み上げて、私はモヤモヤする毎日を送っていた。



漆原さんは奏にいくら冷たくされても、めげるそぶりなんて一切なくて。


直球にぶつかっている。


ただ、私は目の敵にされているのか存在をムシされてるんだけど。


ううん、私だけじゃない。


奏以外のみんな、漆原さんの目には映っていないようだった。


最初は漆原さんを『可愛い』ともてはやしていた男子たちも、奏に一途な彼女を見て諦めたようだ。



「カナ君、夏休みになったらパパの別荘に遊びに行かない?」