ドキドキもして、そわそわもして。
奏といると色んな気持ちになれるんだ。
「嬉しそうだな。そんなにアンパンが好きなのかよ」
「え?」
奏はポケットに両手を突っ込みながら、ムッと唇を尖らせている。
窓から入る風にミルクティー色の髪が揺れていた。
「うん、好きだよ」
アンパンもだけど……。
隣にいる奏の顔をチラッと見上げた。
整ったその横顔にドキッとして、鼓動が落ち着きをなくす。
私……奏のこと。
ううん、違う。
頭を振ってそれ以上考えないようにした。
「なにあの人だかり」
隣の隣のクラスの前まで来た時、廊下に異常なほどのヤンキーたちが群がっているのが見えた。
2年や3年の先輩までいて、何の騒ぎかと心配になる。
「あ〜、なんか今日から来た女子がすっごい美少女なんだって!けど、人が多すぎて見えねー」
立ち止まって野次馬と化していたケイが、必死に背伸びをして教室の中を覗き込もうとしている。
なるほど。
みんなその女子を見に来てるってわけか。
漆原さんのことだよね?
「確かに美少女だったよ」
あれは男が放っておかないと思う。
女の私から見ても、弱々しくて守ってあげたくなるような子だったし。



