てっきり危ない人のことだと思っていたけど、違ったんだ?
奏は左胸を押さえながら、私に向かって優しく微笑む。
「俺、小学校1年生の時に親戚んちに遊びに来て、トラックにはねられて死にかけたことがあるんだ」
えっ!?
トラックにはねられた!?
ビックリしつつ、奏の声に耳を傾ける。
奏はイトコと遊んでいる途中、転がったサッカーボールを追いかけて車道に出てしまい、トラックにはねられたんだとか。
即死でもおかしくなかった奏は、救急車で病院に運ばれた時には息をしていなかった。
その時、奏の救命に当たったのがお父さんだったらしい。
「周りの大人に言われたよ。すでに心肺停止状態だった俺が助かったのは奇跡だって。最後まで諦めずに処置をしてくれたのは、桐山先生だったんだってさ」
「…………」
……お父さん。



