「顔を上げてくれ。いやー、あの時の子がこんなに大きくなったとはね〜!」
お父さんは嬉しそうに目を細めて、優しい顔付きになる。
目に涙まで浮かべて、心の底から懐かしんでいるようだ。
「今生きていられるのは、桐山先生のおかげです」
えっ……!?
な、なに?
どういうこと?
「とんでもない。確かに処置をしたのは僕だけど、生きようとしたのはカナ君だからね。かなり危険な状態だったのに、よく頑張ったよ」
お父さんは目を真っ赤にして、指でそっと涙を拭った。
それを見て、奏は何とも言えない面持ちでスンと鼻をすする。
私だけが話に入って行けなくて、わけがわからずポカンとしていた。



