お茶を持って行くと、何やら奏が珍しく緊張しているようで顔を強張らせていた。
言っとくけど、うちのお父さんは全然怖くないからね。
昔からずっと優しくて、自慢のお父さんだった。
ただ、受験に失敗してからはどう思われているのかが怖くて避けて来たんだけど。
「あ、あの……!俺のこと覚えてませんか?」
奏がお父さんに向かって口を開く。
お父さんは、そんな奏の顔を訝しげに見つめた。
「もしかして……カナ君か?」
えっ……!?
カ、カナ君……?
お父さん、メンズモンモンの奏を知ってるの?
中年の男性ファンまでいるとは、どんだけ人気者だよ。
でも、奏はなんでお父さんのことを知ってるの?
「そうです。あの時は本当にありがとうございました」
奏はニッコリ微笑んでお父さんに深く頭を下げた。



