な、なんで……!?
当直でいないはずじゃ。
「帰って来てたのか?」
お父さんは口元を緩めて優しく笑った。
たった1ヶ月ちょっと会っていないだけなのに、もう1年くらい会っていなかった気がして懐かしさが込み上げる。
「うん。帰って来たけど……お父さんはなんで?」
「同僚に頼まれて当直を代わったんだよ。明日になったんだ」
「そうなんだ。お母さんは?」
「当直だから、帰って来ないよ。ここじゃなんだから、家に入ってゆっくり話そう」
「う、うん……」
奏がいる手前、なんとなく気まずくて下を向く。
お父さんはどう思ったかな。
手を繋いでるところ、絶対に見られたよね。
「キミも入りなさい」
お父さんは優しい口調で奏に言った。