「そ、そんなのわかるわけないでしょ……!とにかく離して」



胸を押し返しても、ビクともしなかった。


それどころか余計に力を入れられて、身動きが出来なくなってしまう。



「か、奏……本当に離して、お願い」



ドキドキしすぎて、おかしくなりそうなんだよ。


もうね、なんでか知らないけど胸の奥が奏でいっぱいなんだ。



「……わかったよ」



しぶしぶ離れてくれた奏にホッとして、乱れた鼓動を落ち着かせる。


はぁ。


本当心臓に悪い。



大人っぽいところもあれば、俺様なところや強引なところもあって。


色んな顔を持つ奏に翻弄されっぱなし。



私のいる世界は……奏一色じゃん!