「あ、あたしたちカナの大ファンなんですっ!よ、良かったら握手とサインと記念撮影をお願いしたいんですけどっ!」
目を潤ませながら、女の子はどんどん奏に詰め寄る。
「違うけど」
奏が面倒くさそうにポツリとつぶやいた。
冷たく低いハスキーボイス。
「え?で、でもそっくりですけど」
「よく間違えられんの。けど、まったくの別人だから」
「そ、そうなんですか?」
ガクッと肩を落とす女の子は、相当カナって人が好きらしい。
違うとわかって、かなりショックを受けている。
「そう。だから、悪いけどもう話しかけて来ないで」
「あ、は、はいっ。デート中にすみませんでした」
私に向かって律儀にペコッと頭を下げた女の子に、私も小さく返した。



