そのあと奏が何か言っていたけど、私は窓の外を見つめたままやり過ごした。
私だけがドキドキしてそわそわして落ち着かなくて。
奏はきっと、モテるからこんなことには慣れっこなんだよね。
女の扱いがうますぎるよ。
まんまとハマッてしまいそうな私は、本当にバカとしか言いようがない。
あれほどありえないって思っていたのに、明らかに意識してるんだから。
気付くと山を下りていて、しばらく高速を走ったあと見慣れた街並みが姿を現した。
15年間住み慣れた私の地元。
懐かしさが込み上げて胸が熱くなる。
まだほんの1ヶ月とちょっとしか経っていないのに、その間にあった色んな出来事があまりにも濃密すぎて。
ここにいたことが遠い昔のことのように思えてならない。
「俺この辺良く知らねーし。さくらが行きたいところに付き合うから」



