いくら言ってもムダだろうから、私はそれ以上何も言わなかった。
密着したところがやけに熱い。
ドキドキしすぎておかしくなりそう。
これじゃあ、奏が好きみたいじゃん。
ないない。
絶対にありえない。
そんな考えを振り切るように頭を小さく振った。
「それより、今からどこ行くの?」
「んー?さくらの地元」
「え?私の?なんで?」
「さくらがどんなところで育ったのか見てみたいから」
「別に普通のところだよ」
都会でもなければ田舎でもない普通のところ。
「好きな女がどんなところで育って来たのか気になるし。同じ景色を見たいっつーか」
な、なにそれ。
好きな女って。
そんなサラッと言わないでよ。
意識しちゃうじゃん。
せっかく考えないようにしてたのに、また思い出しちゃった。
私……奏のことが好きなのかな……?
「今日はさくらの地元ウロウロして、明日は俺の地元ウロウロしようぜ」
「えっ?あ、明日?」
っていうか、泊まり?
聞いてないんですけどっ!
着替えとか持って来てないし。
今日だけじゃないの!?
「服とか下着は俺が今日買ってやるから。あ、フリルが付いてないセクシー系のやつな」
からかうように私を見てニヤッと笑う奏。
「な、なに言ってんのよ!バカ!」
恥ずかしげもなく言うのは本当にやめて。



