車がない以上、ここから出るのはムリなんだけど。



「ん……さくら」



起こさないようにゆっくり静かに起き上がると、奏がいきなり目を開けた。



寝起きで寝ぐせがついたボサボサの髪と、トロンとした目。



ーードキン



寝起きからムダに色気を振りまかないで!


目のやり場に困るから!



私はそそくさと立ち上がって洗面所へ向かおうとする。



「10時に出かけるから準備しとけよ」



「え?」



やっぱり本当に行くんだ?



「言っただろ?俺は言ったことは守るって」



疑いの目を向ける私に奏が冷静に言った。


適当なんだかしっかりしてるんだか。


本当よくわかんない奴。