入学式はもはや、入学式じゃなかった。
体育館にデカデカと掲げられた《第10回 入学式》という看板が、なぜか傾いてて。
最初は綺麗に並べられていたであろうパイプ椅子も、今ではぐっちゃぐちゃ。
体育館に敷き詰められている緑の敷物があちこちでめくれ上がり、床があらわになっている。
「え〜……であるからして、諸君たちは精いっぱい勉学に励み……豊かな自然の中でのびのびと」
「校長、絶対ヅラじゃね?なんかビミョーに浮いてんだけどっ!」
「ぎゃはははは。マジだ。ウケる〜!」
「あぶら汗浮かんでんじゃん!焦ってる証拠じゃね?」
校長先生の声は、うるさいくらいの周りの騒音や雑音に掻き消されところどころしか聞こえて来ない。



