もしかして、私が前に言ったから?


似合うわけがないと思っていた奏のメガネ姿は、私の想像を見事にぶち壊してくれた。


めちゃくちゃ似合っている上に、表情が締まって見えるから余計にドキドキしちゃう。


キリッとして男らしさも増したようだし、何より知的に見えるんだよね。



何をしても嫌味がなく、どんな格好も似合ってしまうこの男。


それは、奏の生まれ持った才能のひとつなのかもしれない。



「おい、聞いてんのかよ。まさか、俺に見惚れてたとか?」



「それはない。私は実家が遠いから、家には帰らずに寮で過ごす」



帰ったところで、また現実を突きつけられて悲しくなるだけだし。