俺のそばから離れるな‼︎



「そういえばさ、今年の入学用のパンフレットに防犯ブザーって書いてたよな」



聞きたくもないのに聞こえて来る話し声に、私の心は沈んで行く一方。


もうやめて。



「だなー!あれはウケた!ぜってえ女子用だろっ!」



ゲラゲラ笑う男子達。


確かに防犯ブザーって書いてあったけど、そこまで笑うこと?


私には、彼らの頭の中が理解出来ない。



山に遭難した時のことを考えて、防犯ブザーを用意しろっていう意味合いで書かれてたんじゃないの?


見渡す限り山しかないし、遭難する人だって中にはいるかもしれない。



「学校側もさすがに、校内で男に襲われた時用の防犯ブザーって書けねーもんな」



「だなー!まぁ、それを見たら普通の女は察するだろうけど」



「えっ!?」



襲われた時の防犯ブザー……?


な、なにそれ。


ありえないんですけどっ!


普通、そんな風に考えないからっ!


ここではもはや、私の普通は通用しないの?



かもしれないじゃない。


私は……完全に入る高校を間違えた。