「これで俺のことを思い出すだろ?」



「はい?何が?」



意味がわからないんですけど。



「だからー。この跡を見る度に、さくらはあいつじゃなくて俺を思い出すだろって言ってんだよ」



「へっ……?」



赤い跡を見る度に奏を……?



「思い出さねーって言うなら、もうちょっと舐めて嫌でも思い出すようにしてやるけど」



自分の唇をペロリと舐めて、妖しげにクスリと笑う奏。


その仕草から目が離せなくてドキッとする。



「け、結構です」



バ、バカじゃないの。


っていうか、考えることが幼稚すぎてついていけない。



でも、だけど。


ドキドキしている私はもっとバカかな。


悔しいけど、私はまんまと奴の策略にハマってしまったわけで。


この赤い跡を見る度に、当分は奏にされたことを思い出しちゃうんだろうな。