「……これはこれは封魔様。今何と言ったか、もう一度言ってもらってもよろしいですかね?」


そう言って、一人の兵士が座っていた場所から立ち上がる。


「あいつ、俺と同じ隊の」

「ってことは、聖斗様の?」


立った兵士を見て呟いた白夜に、鈴麗が視線を向ける。


「ああ。聖斗様のことは慕っていたけど、普段は割と気が荒くてな」


そんな事を言っている間にも、封魔に近付いた兵士が掴みかかる。


「さぁ、もう一度言ってくださいませんか?」

「何だ?聞こえなかったのか?今のお前達のような腑抜けは必要ないと言ったんだ。さっさと地元へ帰るか、魔神族にでも寝返ってろ。……臆病者共」

「貴様っ」


カッとなったらしい兵士が、封魔を乱暴に突き飛ばす。

封魔の言葉にカッとなったのは、その兵士だけではなかったようで、数人が彼に詰め寄ろうとしているのが見えた。