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「封魔、さん」


片手に剣を持ったまま、歩いて近付いてきた封魔が神蘭の肩に手を掛ける。

そのまま、彼の背後へと引っ張られた。


「・・・・・・下がってろ」


そう言いながら、封魔が身構える。

それを見ながら仮面の男が同じ様に月夜を背後に下げると同時に、周りの空気が張り詰めたように感じた。

そのまま、静寂が訪れる。

仮面の下の表情は見えないが、それでも封魔の動きを伺っているのがわかる。

同じ様に鋭い目を向け、身構えている封魔もそれ以上は動こうとしない。

神蘭にはその時間がやけに長く感じられた。

お互いが動かないまま、どの位の時間が経ったのか、ふと近くで燃えていた炎が弾ける。

その瞬間、それまで動かなかった二人の姿がその場から消え、丁度中央辺りで剣と剣が激しく斬り結んだ。