「はぁ・・・」

「どうしたの?神蘭、溜め息なんかついて・・・」


重々しい溜め息をついた神蘭に茶を置き、女性が話し掛ける。


「・・・今日も、月夜に負けたの」

「月夜くんに?」

「・・・うん」


頷いた神蘭に、女性はクスクスと笑う。


「母様?」

「ふふ、ごめんなさいね。でも、仕方ないわ。月夜くんは、軍の中でも実力者。まだまだ成長途中で、将来は闘神になれるかもしれないと皆が言ってるそうだから」

「それでも一太刀も入れられないなんて、私も軍の養成所に入ろうかな」


そう呟いた神蘭に、母は少し困った表情をしていた。


「・・・駄目だ」

「どうして!?」


軍の養成所に入りたいと言った神蘭に、父が反対の声を上げる。


「どうして、駄目なの!?理由は?」

「・・・神蘭、軍という場所はそんな甘い場所ではない。有事にはそれこそ命のやり取りになる。・・・女が進んでなるようなものではない」

「でも!全く女の人がいないわけじゃない。それに、今の闘神にも、女の人が三人・・・」

「神蘭!!」


怒鳴るような大声に、神蘭は肩を跳ねさせた。


「・・・とにかく、駄目なものは駄目だ。この話はもう終わりだ」


そう言うと、父は席を立ってしまった。