謎解き少女 第1話 ひとりの少女

「違う違う。実は、もう一人、共犯者がおったと。
その人の仕事は鬼になってみんなを捕まえること。
その鬼役をやっていたのは…山田君。」

「え!?でも一番最初に捕まっとるやん。」

「それはあの人の自作自演。
優美華ちゃんに聞いたと。
山田君と優美華ちゃんは一緒におって、最初に鬼に気付いたのは山田君。
でも優美華ちゃんには鬼の足音とか聞こえんかったらしい。
そして、山田君は優美華ちゃんに1人で逃げるように言って、自分から優美華ちゃんを離した。
その後、悲鳴が聞こえたらしい。
つまり、誰も山田君が鬼に襲われよるところを見とらんと。

あたしの推理では、山田君は襲われるフリをして第一犠牲者になりすまし、誰にも見つからないように鬼の格好をした。
こうすれば堂々と校内を歩ける。
その証拠に、さっき部室前で見た鬼の手首には、山田君がいつも着けている赤い腕時計が見えた。」

「でも鬼役なら宮口先生でもよくない?」

「先生は小柄やし、下手したら逆にやっつけられてしまう。
だから桔田先生は山田君に頼んだんだよ。」

「なるほどね~。」