10月。秋も深まっている頃、この高校の二年生は1か月後に修学旅行を控えていた。
行き先はベトナム。
この世にも珍しい行き先に生徒達は胸を踊らせていた。
その結果勉強がおろそかになっていた。

「お前らー。修学旅行の前に期末テストあるの忘れんなよー。」
担任の桔田(きちだ)先生がひそかに釘を刺す。

しかしそんなことは誰も気にもとめていなかった。