目が慣れていくように、暗い木々が目の前に広がってきた。ゆっくりと体をおこした僕は歩き始めた。

どこへ行きたいかは知っていた。

ただまっすぐに、ぬれた土に足をとられながら進んだ。
左手に小さな手と、右手に黄色い帽子をしっかりと握りしめながら。

その手を繋ぐたびに思った。僕がどうしてここにいるのか。それはいつの間にか、僕の中にいた彼女について。思い出す事ができたから。