振り返ると、そこはどこまでも続く後部座席で。
歪んだように、
不自然に伸びるその光景に。
僕は酔ってしまったように。
やがて自分の感覚さえも歪んで。
車が走り続けるから、小さな石をふみつけて、がたがたとゆれるから。
けれど、そのせいだけではないと知った。

溶けてゆく自分の、(06)
ただ空ける目に、
少年たちが、少女達が楽しそうに舞って。遊んでいた。

そしてあの声を聞いていたのだ。
消え入ってしまいそうな。
けれど心を揺さぶる、女の子の笑い声が。