足が地についている感覚がない。
フワフワとした浮遊感か私を包んでいる。

「ここはどこかしら?」

目が開いているのか
閉じているのかも分からない。
一面、真っ黒だ。

「アリス、僕と遊ぼう」

突然、声が聞こえてきた。

「だれ?」

「忘れているのも、無理はないよ。
 それが世界の理なんだ」

「世界の理? 分からないわ。
 でも私、あなたを知っている気がするの。
 あなたの声、すごく懐かしい」

「それは嬉しいな。
 君を迎えに来たかいがあるよ」

「迎えに? 私、あなたと約束したの?」

「そう…そうだよアリス‼
 君は僕と約束していたんだ。
 今日、一緒に帰るっていう約束を」

「帰るってどこへ? 
 遊ぶのはどうなったの?」

「僕の住む世界へだよ。
 帰ったらいつでも遊べるよ、不安?」

「えぇ、とっても。だって私、あなたのことを
 思い出せないんだもの」

「不安になることなんてないよ。
 向こうに着いたら、全て思い出すんだ」

その言葉を最後に私は意識を失った。