「…」


無言で運転する水瀬先輩を見ながら斜め後ろに座ったのは当たりだったのかもしれない。

遠慮せず見れる。


時々後ろの車を見ようとしているのかミラー越しに目が合いそうになってパッと目を離す。


それくらいでドキドキとなる胸をどうにかしてほしい…。


そんなことを繰り返しているうちに私の家に着いた。


「送ってくださってありがとうございます。」


家についてカバンの準備をしてそういう。


「あぁ」


その言葉を聞いて車から降りる。


「失礼します」


ぺこりと頭を下げて車のドアを閉める。



車が見えなくなるまで見送った後、溜息を一つついて家に入った。