私が真剣な顔でそう言うと、岡地君は不機嫌な顔のまま答える。



だから、不機嫌になりたいのはこっちだってば!



「だから、少女漫画の主人公たちみたいなデートがしたいって、そう言ったじゃん」



「それだけじゃ具体性がないよ」



「だから、今日は俺が町子! 大町さんが大地なの!」



町子とは、例の少女漫画の主人公、そして大地とはそのお相手の文学青年君だ。



そして私は、全てを察した。



「……つまり、私は今日、大地になりきれと、そういうことでいいのね」



「うん、そういうことだよ、大地君!」



……なんとなく、わかってたけど、本当に異様だな。