恋愛不器用女子がイケメンの嫌いなわけ

午前十時十五分。



岡地君はまだ来ない。



「遅いな……」



前日に、遅れちゃダメだよとか、連絡をよこしたのはどこのどいつだ。



イケメンは、なにをしても許されるとか思っているのだろうか。



私が苛立っていると、向こうのほうから手を大きく振った女の人が、こちらに近づいてきた。



こちらに手を振っているように見えるが、あんな美人な知り合い、いただろうか。



いや、違うな。これは自分に振っていると思いきや、後ろの人に振っているパターンだ。



そう思って、後ろを向いても、そこには誰もいない。



……あれ?