時は金なり

3ヵ月後、学校で変わらずに動き回ってる渚の姿があった。

渚は、みんなの見舞いのあと、程なく退院することができた。

もちろん渚の手首の傷はまだ消えずに生々しく残ってはいたが、渚はリストバンドをしてはいるものの、気にしている様子はなかった。

その日も再び次の日のミーティングの準備で居残りをしていた渚は、時計を見上げた。

夜の8時を回っている。

「やばい!また先生に怒られる!…ごめん、みんな。ちょっとあとよろしく。今やってる作業が終わったら帰ってね。気をつけて。お疲れ~」

そう言い終えると、渚はかばんを持って保健室に向かって走り出した。

今日は週に1回の隼人のカウンセリングの日なのである。

身体の傷はすぐにましになっても心の傷は治るのに時間がかかるということで、今もなお、カウンセリングは続いているのである。