時は金なり

「な、何、先生?」

「苦しいこととか相談したいこと、あれば何でもやるからな、俺は。それだけは覚えててくれ。自分で何もかも抱え込む必要はないんだから。分かったか?」

隼人の言葉の優しさは渚の心にまっすぐ届いた。

渚は最初はびっくりしたものの、すぐに微笑を浮かべ、隼人の方に向き直った。

そして自分の手をつかんでいる隼人の手を握り、もう一つの手もとって話した。

「ありがとう、先生。私、無理することとか多くて先生に心配ばかりかけてるけど、何かあっても先生が全力を尽くしてくれる、自分を分かってくれるって知ってるから、私はがんばれるんだよ」

渚はそう言って隼人の頬に軽く唇を当てた。

そしてすぐにドアのほうへ向かって歩き出した。

隼人はそんな渚の姿を後ろから見守っていた。