時は金なり

「ちょ、ちょっと待って。今の会話はどういうこと？先生は今日みんなが来るのを知ってたの？それにりんは先生から私の情報を聞いてたの？」

渚の混乱を二人は面白がるように顔を見合わせて笑った。

「そういうこと。りんはお前がしでかしたことを全部知ってるぜ？手首を切ったことはもちろん、泣いたこともショック状態に陥ってたことも全部」

と隼人は静かに言った。

「だって先生から聞かないと渚、電話もくれないんだもん。動けるんだったら電話ぐらいしてくれてもいいのに。だから先生と合わせて今日みんなを連れてくることにしたんだよ」

と、りんも隼人に続いた。

「でもりんはまだ納得できるけど、何で他のみんなまで？ほとんどクラス全員だったよね？」

渚はまだ困惑顔で尋ねた。

「渚、あんた本当に何もわかってないね。あんたがいないとクラスの雰囲気が全然違うんだよ？知らないかもしれないけど、クラスが静まり返るの。誰もしゃべらないし、何となく暗いんだ。それにクラスにいつも響く心地よい声も聞こえないの。…みんな本当にあんたのことを心配してたよ？で、その気持ちを少しでも伝えたくて、千羽鶴も作ったの。あんたが思ってるほど、クラスのみんなは冷たくないし、みんな渚のことが大好きだよ。言葉に出しては誰も言わないけど、気付いてあげてよ」

と、りんは少し寂しげに言った。

「…ごめん。でも本当に気付かなかった。いつも仕切りたがりの私をみんなうっとうしいぐらいにしか思ってないと思ってた」

渚は心底びっくりしていた。