時は金なり

ふと目をそらすと、隼人は入り口を少し入ったところでじっとその光景を眺めていた。

「渚、何か言いなよ!みんな、本当に心配してたんだよ!?」

そういわれてその方向を見渡すと、すぐ横にりんがにっこり笑って立っていた。

渚はまだ呆然としていたが、とにかく一言だけはしゃべることができた。

「ありがとう」

その後は少しましに話すことができて、20分ぐらいの談笑の後、みんな病室から出て行った。

後に残っていたのはりんと隼人だけだった。

二人は渚のベットに近づき、近くにあったいすに腰を下ろした。

「…ちょっと疲れた顔してるな。さすがにいきなりすぎたか?大丈夫か?」

隼人は渚を観察するように眺めていた。

渚は一息つくと、ゆっくり話し出した。

「ほんとだよ。いきなりすぎるにも程があるんじゃない?びっくりしたどころの騒ぎじゃないよ!…でもうれしかった。ありがとう、先生」

渚は隼人の方を向き直ってお礼を言ったが、言葉は意外なとこから返ってきた。

「渚!お礼を言うなら私に言ってよ!私が計画したんだからね!先生に渚がどんな様子か聞いて、みんなの都合のいい日を一生懸命探したんだから。先生は私に乗っただけだよ。ね、先生?」

りんはいたずらっぽく笑って言った。

「ひどい扱いだなあ…。俺が渚の情報を与えてやんなかったら、どうしようもできなかったくせに。ま、でも最初に言い出したのは確かにお前だから多めに見てやるか!」と隼人。

その会話を聞いて混乱するのは渚だった。