「…ちょっと長くなるかもしれないけどいいか?…大学のときにひとつのサークルに入ってたんだ。サークルというか2回生の前期で必修の授業を作っていく団体、って感じだな。で、授業を作るわけだから、もちろん責任は重大だよな?もちろん俺だけじゃなくて他のメンバーにも責任はあった。けど、俺はずっとそういう大役を避けてきた。っていうのもそんな大きな責任を負える自信がなかったからだ。でもあることがきっかけでやらざるを得なくなった。そのときの責任の重さは感じたことがないぐらい重いものだったよ、正直。でも他のみんなはもっと大変だったからやるしかないって腹をくくってやることにしたさ。で、実際はその責任の重さからリスカに走ったことも何回かあった。みんなが本心で会議しあう団体だから、いいんだけど、痛い言葉もいっぱい飛んでくる。できるだけ傷つかない振りをしてたけど、本当は結構傷ついたりすることがあった。そんなときに俺は自分が一つの班を率いていくことなんかできない、って思う場面にぶち当たった。実際、かなり悩んださ。でもある先輩が俺を心配してくれてな。話してるときに言ってくれたんだ。『自分だけで抱え込まなくてもいいよ。もっと他の人に頼ってもいいさ』『もっと自分に自信を持て。これまでやって来れたんだから、それだけのことをやってきたんだから、本当に自信を持っていい。お前ならできるよ』その言葉がすごくうれしかったのを今でも覚えてる。本当に心に暖かいものが出てきたんだ。そういう団体だからこそ、みんな本音で話してたし、何より信頼し合えてた。仲間がいるってそのとき改めて気付いたなあ。そして周りの温かい心を感じ取れたんだ。そこから俺は変わった。そこの仲間にはもっと本音で話すようになったし、その先輩に相談とかもするようになった。自分に自信は持ってなかっただろうけど、『当って砕けろ』って思うようになった。砕けたときはみんなが支えてくれるってわかったから。そこから俺のリスカはましになった。というより全然しなくなった。…まあそんな感じなんだけど、わかったか?」


